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「えっ?」
何とか上手く言えたとホッとした僕に沸いて起きたハプニング。
聴こえなかったと言いたげに惚けた顔で此方を見る彼女。
1人狼狽える僕。
顔がミルミルと熱くなっていく。
変な汗も大量に吹き出てきた。
元来緊張しいな為、稀に起こるレベルの緊張に頭がパニック状態になりつつある。
頭が真っ白になりそうだ。
緊張がピークを迎えドクドクと鳴り響く煩い己の心臓。
声が小さすぎて聞こえなかったのだろうか。
情けない。
本来は格好良く伝えるはずだったのだ。
それなりに決めるつもりで挑んだ無鉄砲な挑戦だった。
一晩夜が空けるまで一生懸命に考えた。
持ち合わせてない少ないセンスを最大限に絞り出しようやく決めた。
音楽を愛する彼女にならばきっとこの言葉は届いてくれるのだと信じて。
臆病な僕に言える精一杯に愛を伝える意味を含ませた遠回しな言葉。
彼女には伝わって欲しい。
気持ちに気づいて欲しい。
【You're my melody】
もう1度彼女に伝えよう。
再び心を決めて恥ずかしさに俯けていた顔を持ち上げる。
重なる視線の先に彼女が移る。
緊張が押し寄せそうな僕の目に飛び込んできたのはイタズラっ子の様にキラキラと輝かせた君の子供みたいな瞳だった。
「I love you」
口から勝手に溢れ落ちていた。
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