継母のような彼

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  俺の幼馴染み――花園 美樹(ハナゾノ ヨシキ)の朝は一杯の紅茶と、等身大の鏡を眺めることから始まるらしい。 〝らしい〟と言うのも俺が実際に目にしたのではなく、彼の母親から必死の相談を受けて初めて知った事実だからである。 いや、美樹が鏡の前で自分の姿を惚れ惚れしている光景はめちゃくちゃ想像はできるけど。 美樹の母親は世界的に有名なトップモデルで、父親が美形揃いと有名な富豪一族の人ときた。 そんな両親の血を忠実に受け継いだ美樹は100人中100人が認めるほどの絶世の美男子と成長していた。 そんな彼は鏡を見る度に映る自身の顔に酔いしれてしまったのか、地をゆく極度のナルシストへと変貌も遂げてしまっていた。 「あぁ、見てくれ智基!今日の僕もなんて美しいんだろうか…」 「それは良かったな」 頬を赤く染めて持参の立派な手鏡を覗きながら今日も今日とて自画自賛のオンパレード。 目の前の光景はもう日常と化しているが、俺の頭痛の種でもあった。 まぁ、そんな奴と幼馴染み何てものになってしまったのが運の尽きだと半ば諦めてはいるが。 こんなやり取りに周りの生徒たちも漸く慣れてくれたのか、クラスの雰囲気は朝の一時をほのぼのと過ごしていた。  
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