継母のような彼

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  そんな善き日に、二人の生徒が俺たち(と言うよりは、むしろ美樹)の前に現れた。 「ぉ…おはよう、ございます美樹様に弓沢様!」 息も切れ切れに、訪れた彼等の目には情けない程くっきりとした隈が浮かんでいた。 確か一人は大手ソフトウェア会社の子息で、もう一人は大手印刷会社の子息のはず。 そしてこの幼馴染みの美貌に当てられてしまった被害者集団の一人だと俺は認識している。 簡単にいってしまえば美樹の親衛隊というやつだ。 「やっと!やっとッ!例のアレが完成しましたっ」 「おお!待ちに待った例のアレかい?!」 「はい!アレです!」 アレやアレやとテンションを上げながら喜びだす彼等のノリに、俺は全くついて行けてない。 そしてそんな俺など最早眼中に無い彼等はそそくさと何処からか、何かを取り出す。 それは全長二メートル弱はあり、丁寧に布で包まれた大きな額縁のようなものだった。 ……いや、あの、 一体何処にどうやって隠し持っていたんだよ? 俺としては描かれている内容よりもそっちの方が気になって仕方がなかった。  
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