107人が本棚に入れています
本棚に追加
それはまだ、俺が幼かった時。
ふと浮かんできた疑問を、母さんにぶつけたことがある。
「ねえ、かあさん。『マジョ』って、ほんとうにいるの? あってみたいな、おれ」
穏やかな日差しが、妹と戯れる母を照らす。陽光に映える落ち着いた色のワンピースを着た母はにこやかに微笑み、妹を抱いたまま俺に近寄って。
耳元で、こうささやいた。
「ええ。『魔女』はいるわ。圭(ケイ)が思っているよりも、近くにね」
最初のコメントを投稿しよう!