思い出

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 それはまだ、俺が幼かった時。  ふと浮かんできた疑問を、母さんにぶつけたことがある。 「ねえ、かあさん。『マジョ』って、ほんとうにいるの? あってみたいな、おれ」  穏やかな日差しが、妹と戯れる母を照らす。陽光に映える落ち着いた色のワンピースを着た母はにこやかに微笑み、妹を抱いたまま俺に近寄って。  耳元で、こうささやいた。 「ええ。『魔女』はいるわ。圭(ケイ)が思っているよりも、近くにね」
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