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「そーいうもんかねぇ。にしたって、断り続けるならそれはそれで理由があるはずだろ? 相手がいるんじゃないなら――」
「おい、田中ァ! お前ンなとこで何やってんだよォ!」
夕暮れ時の学校に響く、ドスのきいた声。俺はやってきたその男達に手を上げて応え、苦い顔をしていた佐藤に向き直った。
「それじゃあな、佐藤」
「……おう。あんまりあいつらに深入りすんなよ、圭」
瞳に警戒の色を映しながら、佐藤は野球部の練習に戻っていった。
‡‡
結城(ユウキ)と播磨(ハリマ)と北条。俺が放課後、よくつるんでいる連中の名。名前は知らない。
「この間コンビニで万引きしてるガキが居たからよ、後ろから写メってやったんだ。んで、バラされたくなかったら今日中に五万持ってこいっつったらそいつ、泡くって持ってきやがってさー」
「コンビニで万引き? しょーもねー! 世間体守んのにどんだけ必死なんだよ」
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