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「ホントにな。そいつ、今日も金持ってきてくれることになってっからさー、ゲーセンかなんかでパーッとやろうぜ」
ドレッドヘアの北条が、携帯を播磨に見せながら下卑た笑みを浮かべている。スキンヘッドの結城がその携帯で撮られた画像を見て、映っている男子生徒を嘲り、太った播磨が死にそうな詰まった声で笑う。
「顔は割といいからよォ、さっきこいつのアドレスと番号、ゲイの出会い系に晒(サラ)してきた」
「エズいなおい!! サイコーだわお前」
「俺らも登録してよ、ゲイの振りして会う約束取り付けさせね?」
「めんどくせーっつーのハゲ! なあ田中」
「ん、ああ……」
何かしら盛り上がっている三人から、半歩下がってついていく。そんな俺も、周囲の人間には奴らの一員に見えているんだろう。皆、ゴミを見るような目を向けてくる。
この金髪だ、無理もない。生まれたときから、この色だ。
記憶にある限り家族は金髪じゃないが、どこか遠縁の血が濃く出たんだろう、と割り切っている。
「朝、駅前で『新しいタバコ』ってんで配ってたからさ、貰ってきた。ホラ」
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