霧雨の来訪者

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「お、サンキュ~。田中、お前は?」 「? いや、俺はいい」  そうか、と言い、タバコを美味そうに吸い始める北条達。バカらしい姿だ。見ていて飽きない。  日々を感情の赴くままに過ごし、人生に何の目的も見出せない奴ら。  まあ、俺も同類なんだろうが。 ‡‡ 「……お前マジ殺すぞ? 全然足りねーじゃん」 「そんな、十万なんて大金簡単に用意できませんよ。もう少し」 「あっそ! バラまかれても言いワケね、お前は」 「い、いえ……」  よく行くゲームセンター付近の、あまり人が通らない高架下。北条が同じ学校の高校一年生と何やら話し込んでいるみたいだ。  ……興味は無いから一切干渉はしないが。
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