序章

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「……にしても義兄さん、なんだってあんな亡くなり方…悪い沙羅」 沙羅は、いいのよ、と首をふる。 「私もよく分からない…。なぜ、首を切って自殺なんて… 小さいころ、一家で遠くに引っ越したの。確か父の転勤で。 兄さん、福井のこの町に戻るといって昨年昔住んでいた家を買い戻して嬉しそうだったのに…」 「1人で何か思い詰めたかな…」 しばらく町中を走ると、細い道に出た。 道の右手は山裾、畑を挟んで左手にも道路が見える。車一台分しか通れないようだ。 「沙羅、あの左手の道の向こうは川?」 「そう、田舎でしょ? 見渡す限り山だし」 くすりと笑う。 「あの川…血の川というのよ」
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