77127人が本棚に入れています
本棚に追加
/854ページ
「フハハハ、このオレについてこれるかな!?」
屋根から屋根へと華麗に跳び移るオレの動きに翻弄され、
全く手が出せない騎士達。
このまま逃げおおせれるんじゃね?
とか思ったけど、やはり現実はそんなに甘くはない。
大歓声と共に、
騎士のエリート中のエリート、青薔薇騎士隊が到着したのです。
青い薔薇の刺繍が入った純白のマントを靡かせ、
颯爽と現れるその姿はまさに騎士の鏡。
王国一のイケメン+実力者集団が、
オレ1人を捕らえるためだけに来ちゃいました。
・・・・お前らはオレをどうしたいんだ?
「極悪人レオンハルト・スターダストに告ぐ。
罪なき民を傷つけるとは、
真に許しがたき事なり。
貴様の蛮行にてどれ程の民の涙が流れたと思っているのだ?」
青薔薇騎士隊の隊長が、
一歩前に出て静かに語りかけてくる。
「しかし、罪を許すのもまた我らの務めなり。
今ならまだ間に合う。
大人しく投降しろ。」
「おい、いつの間にオレはそんな極悪人になったんだ?」
オレのツッコミは虚しく、
隊長は話を続ける。
「まだ抗うというのならば・・・」
その瞬間、青薔薇騎士隊は見事に揃った動作で剣を抜き、
天に掲げた。
「この王より預かりし剣にて、
正義の鉄槌を下してくれよう!!
民の明るい未来は我らが守る!!」
町中から上がる大歓声。
そしてオレに対する罵倒の数々。
青薔薇騎士隊の目には明らかな敵意が燈っており、
どう見ても、今ここで大人しく投降したとしても許してくれる訳がない。
ねえ何なの?
君達何なの一体?
オレをどうしたい訳?
「すいません、いやほんとマジで。
今すぐ投降するんで、
そういう物騒なものはしまってくれませんか?」
「青薔薇騎士隊、進め!!」
「聞けよ。」
オレの言葉なんか聞く気もないらしく、
青薔薇騎士隊は魔法を使い、
次々とオレがいる屋根の上に上がってくる。
「言い遺す言葉はないか?」
「え、あれ死ぬの?
オレここで死ぬの?」
いやいや、捕らえるんじゃなかったの?
「さあ、覚悟しろ。」
オレを取り囲み、ジリジリと近づいてくる騎士達。
・・・・もういいよ。
もうオレはツッコまないよ。
最初のコメントを投稿しよう!