第一夜  天職

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しかし、そんなオレのイケメンタイムは長く続くはずがない。 「魔法だ、魔法を使え!! 魔法で奴を屋根の上から落とすんだ!!」 屋根の上から真っ逆さまに落ち、 気絶した青薔薇騎士隊の隊長に変わり、 今度は副隊長っぽい奴が指示を出す。 それに従い、青薔薇騎士隊は一斉に詠唱を始める。 流石は王国一と名高い青薔薇騎士隊。 魔法を使える才能を持つ人間は百人に一人だけだと言うのに、 全員が全員使えるようだ。 まあ、一応オレも使えるんだけど、 先天性だから、回復と補助系統しか使えないんだよな。 「ちょっ、これはマジでヤバス。」 街中というのにも関わらず、 雨霰と降り注ぐ攻撃魔法の数々。 飛来する魔法の属性は多種あるが、 取り分け、イメージが簡単とされる火属性が多い。 あ、屋根に火がついた。 火はその屋根全体を包み、 他の家の屋根にまで燃え広がる。 「この王都を火事にでもする気かよ!!」 ここまで来て、やっと自分達がしている事に気づいた馬鹿共は、 火属性の魔法を放つのを止め、 水属性の魔法で消火活動を始める。 しかし燃え広がって範囲が広くなった上に、 運悪く風が強いため、 火の勢いは強く、焼け石に水の状態になっている。 「見ろ、もうあんな所にいるぞ!!」 青薔薇騎士隊が消火に躍起になっている隙に、 オレは既に包囲網から抜け出していた。 そして今は王都の南門付近にいる。 流石オレ、疾風の名は伊達じゃねえぜ。 『そこまでだ悪党!!!』 もう少しで王都から逃れられるという所で、 5人程の重なった声が響いた。 その途端、烈風が駆けぬけオレを吹き飛ばす。 「うおっ!!」 オレは空中で回転し、華麗に着地・・・する事はできず、 壁に激突した。 痛い、超痛い。 烈風が吹いてきた方向を見ると、 そこには5つの人影がローブをはためかせながら、 悠然と腕を組んで立っていた。 「人々の平和を護り、幸福へと導くため・・・・」 「幼少の頃より鍛えられし肉体と精神・・・・」 「我らは如何なる敵にも屈する事はなく・・・」 「ただただ人々に仇なす者を討つのみ。」 「それぞ我らが唯一の願い。」 『五賢者参上!!』 出たよゴレンジャイ
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