第三刻 貫きMAX!!!

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折角数万人の予想を良い意味で裏切り武芸大会を制覇しても主役がいないのでは祝賀会も何も始まらず、 しかし店は予約済みでも他にも準備する物があるためレオンの関係者一同は祝賀会の準備を担当する大人組とレオンを探す子供組に別れる事に。 カンパネルラ引き連れる子供組が先ず向かったのは闘技場に直接繋がる控室。 荷物を置く以外に使い道のない控室に留まる必要性は無いので引率役のカンパネルラは控室にはいないだろうと踏んでいたが、 その推測に反して確かにレオンはそこにいた。 ただし。 「─────レオンさん?」 「────い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 床に丸く広がる血溜まりに沈んだ状態で、だが。 ほぼ反射的に決して少なくない量の血を流し倒れ伏すレオンに駆け寄ろうとする愛や卓馬やその悪友を手で制したカンパネルラは、 いつでも戦闘に移行できるよう周囲に注意を巡らせながら屈み込みレオンの首筋に指を当て脈の有無を調べる。 トクン、トクンと。 弱々しいながらも一定間隔で起こる振動を指先で感じ取ったカンパネルラは無言で頷き生きている事を伝え、 刻一刻と命の液体を垂れ流しにする傷口を塞ぐため体を仰向けに返そうとした時。 最後の力を振り絞り自らの血をインク代わりにレオンの右手の人差し指が床にダイイングメッセージ(まだ死んでいないが)を記している事に気付いた。 失われ行く意識の中で残したため各文字は繋がり血は滲み最早暗号だが、 事件解決の有力な手掛かりを見付けた探偵ばりの集中力を以って読み取った結果、レオンの残したダイイングメッセージは。 シ リ ア ス 「死んでしまえ。」 「か、カンパネルラさん!!?」 酸素が薄くなったような錯覚を生み出す張り詰めた緊張感が突然消え去り、 出血の量からして一秒でも早く応急処置を施すべき怪我人の頭を軽く蹴り飛ばしたカンパネルラの行動に驚愕の声が上がる。 理解不能な状況に愛はあわわと無駄に焦り卓馬やその悪友達が師匠と仰ぐ者を蹴飛ばされた怒りから牙を剥く中、 カンパネルラは濁った泥のような光の宿らない目で口を開いた。 「…………ねぇ、知ってル? 兎ってネ、一人だと寂しくてそのストレスで吐血して死んじゃうんダ。」 「「「「「はい?」」」」」 「つまりネ。」 ストレスの溜め過ぎには注意しまショウ。  
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