第四刻 おいでませ死者の国

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神獣序列18(金剛猿ゴクウ) 神獣序列12(沈黙のザディン) そして最も神の王に近いと言われ、周辺の塩分濃度が高過ぎるが故に生物の生息しない、 北の海に浮かぶ孤島で巨大な塩の結晶に閉じ込められ封印されていた神獣序列8(枯渇龍リュブリエ) その他20位以下の神獣5柱が神獣序列3(災厄王グレイプニル)の封印が解かれ神滅された事による影響を受け復活を果たし、 各々の眷属を引き連れ魔王軍として北の方から進攻して来たのだ。 大国一つが総力を上げて漸く立ち向かえる20位以上の神獣3柱に加えて、 一番弱くとも数人の英雄は必要とする20位以下の神獣が5柱という世界滅亡の秒読みのような最強最悪の大戦力。 これに対抗するためついに国境を超えた人間側最高戦力の賢者会が動き出し、唯名を持つ賢者50人が召集された。 全身の70%が樹木で構成され生きた樹とも言われる《枯渇龍リュブリエ》は塩水を弱点とするため海を渡るのにかなり手間取り、 この期間を利用して賢者会の賢者50人は万全の準備を整え世界の命運を決する決戦に挑んだ。 結果惨敗。 全人類の希望であった賢者会の賢者50人は半数近くが討ち死にし、残りも魔力が尽き敗走。 各国の政府は混乱を避けるため必死に隠し通していたがどこからか魔王軍進攻の噂が広がり、 そろそろ隠すのも限界に近付いて来た時の事だ。 このままだとあと2日以内に魔王軍によって蹂躙され地獄絵図となる地域に、ある小さな村があった。 流石にそこまで近いとその国も魔王軍の存在を国民に知られないようにする事はできず、首都の方へ避難命令が出されていた。 他の家は全て取る物も取らず必死に首都の方へ避難したが、ある家には重い病気を患った少女がいた。 病気に蝕まれた彼女の体力ではとても首都までの長距離の移動は堪えられず、 何とも涙を誘う事にその一家は娘と共に心中する事を決めたらしい。 『何故逃げない?』 誰かに雇われた訳でもなく自分の意志で取り残された者がいないか確認するため、 死の危険と隣り合わせで捜索を行っていた″あの人″はそう少女の両親に尋ねたそうだ。 重い病気を患い動けない我が子を置いて逃げる親がこの世のどこにいるのだろうか。 家族は一蓮托生、あの娘だけに寂しい想いはさせない。 そう少女の父親が答えると″あの人″はこう言ったそうだ。  
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