俺で解決。俺が対決。その②

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「そう……ですか」  どう言えば納得して貰えるのか……。告白に対する答えも、その答えを出した考えも変えるつもりはないからこれ以上に言いようがない。 「ワシが納得していない理由は一つ。いまのお前が唯のことをどう想ってるかが含まれてないからだ。記憶がないとかスタート地点とかそんなうんぬんは抜きにしたいまのお前の気持ちが分からんとな。そこを聞かせて貰わん限り納得できん」 「ッ!」  ……そうだ。いまおじさんに言われて気づいた。  なくした過去の記憶を気にして、付き合った先の未来を気にしていたけど、肝心のいまの気持ちを俺は何にもおじさんに伝えてなかった。  そうだ。過去の記憶が戻ってもいまの俺が変わるわけじゃないんだ。いまの俺の気持ち。そこをしっかり軸として持っておかないとな。  少しだけ大きく息を吸い、吐く。この言葉を口にするってのは覚悟がいる。  覚悟を決めないと言えない言葉なんだ。  今日で何度目か分からないけど、これまでで一番気合いを入れていまの俺の水澤への気持ちを初めて言葉にする為に口を開く。 「好きです。年下なのに面倒見が良くて、気持ちを素直に表してくれる。でも、少し電波が入っていてたまに困らせられることもあるけど、そのやり取りですら俺の心を躍らせてくれる一部です。言い切れないけど、とにかく可愛くて、俺のことを想ってくれる。そんな水澤が――唯さんが好きです」  恥ずかしさは自然となかった。ありのままの本音だ。そこに恥じるとこなんて一つもない。
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