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――◆◆◆――
雲一つない青空。空に上がるはずだった雲を敷き詰めたかのように屋上は真っ白なシーツが何枚も干されていた。まるでテレビドラマである病院の屋上風景だ。
まぁ、この規模の屋敷だと使用人も多いだろうし、このシーツ数も頷ける。
……っと、そんな余計なことは置いといて……。
屋上を見渡して一人の――水澤の後ろ姿を見付ける。
「水澤っ!!」
と、同時に反射的に叫んでいた。
「わわっ! か、神田先輩……」
突然、大声で名前を呼ばれた水澤は遠目でもわかる程肩を揺らして飛び上がる。
……俺、気合いの入れすぎだな。『過度な気合いは緊張を高める原因』って、さっき陸橋に言われたばかりじゃないか、いまから大事な話をするんだ、落ち着け俺。
反省しつつ、心を落ち着かせながら水澤に近づく。
「よ、よく私がこの場所に居るって分かりましたね」
目をパチクリさせる水澤。
さっきの驚きが尾を引いているのか、ましてはここに俺が現われたことに対する驚きか。
「鈴木さんに聞いたんだ。水澤ならここに居るだろうって」
まぁ、屋上って聞いて飛び出したのはいいけど、どっから屋上まで行けるのか分からなかったからちょっと迷ったけどな。
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