2.考え方

3/13
前へ
/139ページ
次へ
(最初からこのクラスにいる私よりも、昨日来たばかりのサナちゃんの方がよっぽどクラスの一員みたい。しかも、私の席も人だかりに囲まれてるし。あれじゃ自分の席に近づくこともできない…。) 自分の席だけは唯一の居場所だと思っていた。 けれどその場の光景を見たとき、もうここに居てはいけないように感じた。 (家、帰っちゃおうかな…。) 気分が沈み、回れ右をして引き返そうとしたときだった。 「あ、ハルちゃん!おはよう!」 突然、人だかりの中心から、明るい声が聞こえた。 大勢に囲まれていたのにも関わらず、サナちゃんは私に気付いてくれていたのだ。そのことに驚きはしたが、そこにはうれしさも混じっていた。 取り巻きの子たちもまた驚き、一斉に私へ視線を向けたため、少しひるんでしまう。 しかしサナちゃんはそんなことにもお構いなく、笑顔で小さく手招きをする。  
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加