1.出会い

5/10
前へ
/139ページ
次へ
だが、そんなことは知らない転校生は「はい」と一言返事をして、私の後ろの席に着いた。 その後担任はいろいろと話していたようだったが、そんなのを聞く気にはなれなかった。 一時間目の後の休み時間―。 ふてくされていた私の背中を軽くつつき、「よろしく」と後ろから笑顔で話しかける転校生の姿があった。 「よろしく…。」 とてもじゃないけど、嘘でも明るく振る舞えそうにはなかった。 そんなことなど全く知らない転校生は、私の態度を見てとても心配そうに言う。 「大丈夫?もしかして、どこか具合が悪いとか…?」 その声を聞いた途端、何か自分が悪いことをしてしまったように感じた。  
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加