第八章 学生寮

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「それはお前が知らないだけだ。 これまでそういったものを知る機会が無かったのだろう。 だが、知らないという事は無いという事と同意ではない。 それは確かに存在するんだ。」 「こいつらがそれを教えるとでも言うのか。 こいつらは俺を恐れているだけだ。 俺の復讐を恐れて許しを乞うているにすぎん。」 「それは……」 「それは違う!」 「それは違うわ!」 エレンは思わず口ごもった。 違うとは言い切れ無かったのだ。 二人の事は高く評価していたが、内心そういう打算があってもおかしくなかった。 だが、二人ははっきりと否定した。 「俺達は自分の罪を自覚している。そこから逃げるつもりはない。」 「罰は甘んじて受けるつもりよ。」 その表情には強い覚悟が伺えた。 「だだ、それで終わりにしたくないんだ。」 「もう一度最初からやり直したいの。」 「本当の家族になりたいんだ。」 二人は必死に思いの丈をぶつけていた。
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