第二章 目覚め

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イグニス家の地下の一角、日の射すことのないその部屋に一人の子供がいた。 痩せこけて、体のあちこちに傷跡のあり、足を鎖で繋がれたその子供こそ、9歳になったディエスである。 産まれてすぐに地下室に放り込まれたディエスは、一度も日の光を見ることなくこの部屋で生きてきた。 食事は最低限のものしか与えられず、家人の気晴らしとして、頻繁に暴力をふるわれていた。 当主夫妻に見捨てられた子供を気にかける者は一人もいなく、生きていれば良いという扱いだった。
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