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美香はカウンターの椅子に腰掛けるなり、後悔を覚えた。 わかっていながらも、腕時計を確認すると、針は午後2時を指している。 桐山との待ち合わせは午後3時。 待ち合わせ場所が喫茶店ならと、相手より早く到着して軽くお昼を食べようと思っていたのに。 ここは、喫茶店とは名ばかりの賭博メインのお店だ。 しかも美香はゲームをしない。 完全に浮いた存在ではないか。 インターホンを押す前に考えるべきだった。 桐山がやってくるまでの一時間。 煙草でも吸いながら時間を潰すしかないのかなと半ば諦めていた時、 美香の目の前に、のそのそとお冷やを手に持つ小太りな女性がやってきた。
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