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ふと気づくと朝の会が始まる所だったので、郁人たちは席についた。
席に着いて郁人は思った。郁人の右隣りの女子、由華がまだ来ていないと。
そのとき教室の後ろのドアが開く。みんな、びくんとして後ろを振り向いた。
開いたドアから由華がこっそりと恐る恐る入ってきた。
「由華さん。遅れちゃダメじゃないの。次は決して遅れないようにね。」
先生は威厳ある声で由華に注意する。すると由華は、
「はい……ごめんなさい……」と言って急いで郁人の隣に座った。
すると由華の左隣りにいる彩香が、「どうしたの?」と話しかけてきた。見た感じ由華と彩香は前から友達だったように郁人は感じた。
由華は、「うん、ただねぼうしちゃっただけだよ。」と言って微笑んだ。
1時間目はまず教科書を配った。みんなで図書室に置いてある教科書を取りに行く。
すると裕典が、「僕べんきょうしたくないなぁ……何かおもしろくなさそうだし。」と呟いた。
それに大河が頷いて、「僕もそうおもう。」と言う。
「えー、そうかな?別につまらなくないとは思うよ。」と郁人は言った。
「いくとはべんきょうしたことがあるの?」と薫が尋ねてきた。
「ようちえんにいたときは、えんぴつを持って、せんを書いたり、すうじをおぼえたりしたよ。あとあいうえおも。」
「それって、うちの母ちゃんが言ってたけど、゙えいさいきょういぐってやつじゃない?」
郁人はよくその言葉の意味が分からなかったが、「そうかもね。」と言って少し笑ってごまかした。
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