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「そうか!だからいくとくんにはなんとなく"おーら"がある気もする。」恵が話に入って来た。
「"おーら"ってなに?」郁人は尋ねる。すると、今まで前を向いていた一が、
「オーラってのは独とくの雰囲気のことだよ。」
「はじめ、さすが!物知りだな。」と今度は前にいた大河がはやしたてた。
「いやぁ、そんなんじゃないよ。」と一は言うが、顔が少し照れている。
「こんな街の子のいくとくんが何でこんなとこに来たの?」
と恵が話を戻そうと郁人に質問してきた。
「お父さんもお母さんも働いているから、家に僕一人残すのが心配なんだって。だからおじいちゃん、おばあちゃんがいるここに引っ越そうって。」
「それって"かほご"ってのじゃない?」と彩香がいう。
「そうかもね。」と一も頷く。
「なに?"かほご"って?」郁人は聞く。
「いくとはまだ知らなくていいんじゃない?」薫が言う。
「うーん、別に知らなくても大丈夫だと思うし。言わなくて言いと思う。」と滴。
「どうしても知りたいなら、はじめに聞くといいよ。何でも知ってるから。」と大河。
「けどあまりこれは僕も教えたくないな。」と一。
途中からみんなが何を言ってるか分からなくなった郁人は、どうすればいいか分からない。
なんてみんなでザワザワとしていたら、先生が、
「みんな静かに!いいですか?他のみんなは勉強をしているので移動のときは静かに歩くのよ。」と注意する。
一年生は小さな声で「はーい。」と返事した。
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