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サッカーボールは、体育館の横にある小さな広場へと飛んでいった。
郁人たちのところからは死角になっていて、よく見えていなかった。
郁人は早くボールを見つけようと勢いよく走っていく。
広場に着いた。郁人は思い切り走ったせいで、息切れしていた。
(ボールはどこだろう?)そんなことを思い探そうとした。息を整えて顔を上げる。
すると、白黒のボールは目の前にあった。ただ、そこに止まっていたのではない。
由華が小学生にとってはとても大きく見えるボールを両手に抱えていた。
郁人は由華がいくつか光り輝いている感じがした。その理由をまだ、郁人は知らない。
そう感じながらも郁人はただサッカーボールを拾ってくれた由華に感謝するだけだった。
「あの……ゆかちゃん……だよね?ボールひろってくれてありがとう!」とお礼を言った。
「ううん。ただころがって来たからひろっただけだよ、いくとくん。」と言って由華はボールを郁人に差し出す。
「いやあ。さがす手間もはぶけたし。しかも、よくぼくの名前覚えてたね。」
「だって10人しかいないんだもん。みんな仲良くしないといけないし。ね!?」
「そうだね!これからもよろしくね!じゃあぼくはゆうすけたちのところにもどるよ。」
「うん、また後でね。」
と言って由華はブランコに向かう。座ったブランコの隣に舞花がいた。郁人が由華と話している間も、舞花はブランコで遊んでいた。
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