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由華は走って裕典たちの所へ戻る郁人を立って見つめる。
「どうしたの、、ゆかちゃん?」と不思議そうに舞花が尋ねる。
「いや、なんかぼーっとしてただけだよ。」と由華は答えてブランコに腰掛ける。
郁人が二人の視界から消えると舞花が口を開いた。
「いくとくんって、なんか他の4人の男子とはまたちがうよね。」由華はその言葉に頷く。
「もちろん、みんな違うけど、いくとくんは今までに会ったことのない男の子だよね。」
「なんか変だね。わたしたち。」舞花が呟く。
「そうだね。」と、由華はにっこりして返事する。
二人は再びブランコを漕ぎはじめた。
「いろいろ聞いてみようかな……。」
「なんか言った?」と舞花が由華の独り言に反応した。
すぐさま由華は何もなかったように「ううん、何も言ってないよ。」と答えた。
サッカーボールを持って郁人が裕典たちの所へ戻ってきた。
「よっしゃ!じゃあ続きやろうぜ!」と大河がみんなに呼びかける。
すると何か大きくてきれいな音が聞こえてきた。
「キーンコーンカーンコーン、キーン……」
「あっ、終わりだね。」と一が言う。薫が「ボールかたづけにいこう」とみんなに促した。
裕典と大河はまだまだやりたかった、などとぶすっとしながら渋々、薫たちのあとについていく。
ボールを体育倉庫のかごの中に直し、玄関に向かおうとした所で、薫が何か思った。
そして郁人に、「さっきの話をするからさ、ちょっとついてきてよ。」と言った。
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