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「さっきの話って何だよ、かおる?」裕典が郁人と薫の間に割り込んできた。
「おれたちが仲のいいわけを教えてくれって、いくとが聞いてきたからな。あそこにいっしょに行こうと思って。」
「あそこってようちえんだな?」と今度は大河が聞いてくる。
「うん、そうだよ。」と薫は頷く。そして郁人たち5人は歩き始めた。
「ようちえんって遠いんじゃないの?そしたら、次の時間におくれちゃうよ!」と郁人は少し叫びぎみに言う。
「おれたちのようちえんは小学校の中にあるの。だからいつでも行けるの。」と大河が答える。
「なんか学校の中にようちえんがあるなんて変だね。」と郁人が呟く。
「おれたちにはこれがふつうなんだけどね。」と裕典がしゃべる。
「ああ、あれがおれたちのようちえんだよ。」と薫が話したあと、何かに気づいたのか、郁人以外の4人は駆け出した。
郁人もそれにつられて走る。ふとその建物をみて、「さっきの広場の隣に会ったんだ……。全然気づかなかった。」と独り言を言う。
薫たち4人は一人の大人を取り囲み、楽しそうにしていた。郁人がその大人が誰なのか分からなかった。すると、薫が、
「おれたちのようちえんの先生だよ。」と説明してくれた。
幼稚園の先生が薫たちに質問した。「あの男の子は誰だい?」
「今年こっちにきてここの小学校に入学したいくとだよ。」
「おお!そうか!男の子が増えてよかったな、みんな!」とその先生は嬉しそうに話す。
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