Mysterious Impression

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郁人と一は先生に言われて皆がついだご飯やおかずをこぼさないよう運んでいく。 みんなの机のお盆の上に全ての料理が整ったところで、着替えて席につく。 5人のグループは席順のままで作ったので、今日は男子のグループ、女子のグループと分かれた。 郁人は給食着を一生懸命たたんで袋に入れて窓際に袋のひもでぶら下げた。 自分の席に姿勢正しく郁人が座ったとき、既に一や薫は座っていて、裕典や大河も後に続いて急いで座る。 女子の方へとふと目をやった。女子ももうみんな座ったらしい。すると先生が、 「じゃあ給食を食べましょうね。番号順に裕典くんから、いただきますの挨拶をしましょう。」と裕典の顔を見ながら言う。 そのまま続けて、先生は、「"手を合わせて下さい"って言ってから、"いただきます"って言ってね。」と指示をした。 裕典はみんなに向かって「手を合わせて下さい!」と言った。その声に応じて、みんな胸の前で手の平どうしをくっつける。 そして教室いっぱいに届ぐ大きな声で、「いただきます!」と言った。それからその声よりも大きな声でみんなで「いただきます!」と言う声が響いた。 皆一斉に箸を握り、それぞれ食べはじめた。郁人も小さな丼ぶりのお椀を左手にとって食べはじめる。 初めて食べる給食。郁人が幼稚園のときは、ご飯だけ持ってきて、作られたおかずを食べてたが、心の奥で給食の方が美味しいと感じた。 母親にいつも言われているように、どのお椀も交互に食べる。10分ぐらいで3分の2を食べた。
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