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ふと郁人は他の男子の様子を伺った。すると、郁人には意外なことが起こっていた。
驚きのあまり、郁人の尋ねる声がうわずってしまった。「それって何してんの、はじめ?」
「えっ!?いやっグリーンピース残してるだけだよ。」と小皿に入っている緑の豆を指差す。
「のこすって、何で?」と郁人は思わず、さらに尋ねてしまった。「何でって、そりゃあ……きらいだもん、これ。」と一は目でグリーンピースを見る。
続けて一が話す。「みんなもおいしくないと思わない?」と郁人以外の男の子に聞く。
すると大河は、「まあ、おいしくはないかもな。きらいってほど食べられないわけでもないし。」と一の意見に少し同意した。
さらに裕典が、「きらいな食べものくらい、残してもいいよ。こんなにちっちゃいんだし。」と言って、緑豆を指し示す。
すると薫は、「だからっていって残していいとは言えないけどな。」と冷たく、4人の男子の心に響く声でしゃべった。
薫が言ったあと、長い時間、空気は静かに流れた。郁人はその沈黙を破った。計算してなのか、天然なのか周りの4人は分からなかった。
「じゃあ、ぼくがそれ、食べるよ。」声に暗い感じは一切なかった。むしろものすごくウキウキとした声だった。
「な、何で?」と不覚にも一は尋ねてしまった。その質問に答える郁人の顔は笑みに満ちていた。
「ぼくは何でもすききらいなく食べられるから、残さないですむし。ね!?もんだいないよ。」
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