Mysterious Impression

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辺りがシーンと静まった。放送委員会による昼の放送が終わった訳ではなかった。もちろん先生に怒られたのでもない。 郁人のその言葉に何故かみんなが郁人に信頼を寄せてもいいと思わせる何かがあったのだ。ただ、まだ小学一年生の10人は気づかない。 静まったのは本の1、2秒だった。あほみたいに言う"神様が通ったな"という言葉を思わせるそんな感じになった。 たった時間の上での1、2秒が超スロー再生のような、そんな感覚を覚えた。 けど、誰も気づかない。まだ小学生だから。 郁人の言葉に一は笑顔で「「ありがとう!」と答えて、そのまま郁人はきれいに箸で2個もグリーンピースを挟みとり、口に運んで食べた。 「いいえ、どういたしまして。」と郁人がいったところ、先生が「食器を片付けましょうね。」とみんなに促した。 女子が一連の会話を興味深く聞いていたのには、男子は誰も気づかなかったようだった。そして「ごちそうさま」の号令のあと、食器かごのなかにきれいに食器を積み重ねる。 今日、一年生は4時間の授業だったので、そのまま、帰りの会をした。先生が明日の連絡や持って来るものを伝える。 「先生、さようなら!」『さようなら!』と挨拶をし終えたところで、みんなは自分より大きいランドセルを背負って、教室を出た。 玄関で一年生全員で外靴にはきかえて男子、女子分かれて歩く。不意に大河が、 「いくとの家は何処にあるの?」と郁人に聞いてきた。
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