67人が本棚に入れています
本棚に追加
彼の父の実家には祖父母共に健康に過ごしていた。
毎年正月と盆のときに戻るのだが、彼は家の中がべとべとしてて嫌だった。
そのとき居候の数匹の猫が原因だったのだろう。
ただ大嫌いというほど嫌ではないのも事実。
家の前は倒産した工場。遊ぶのに十分な広さだった。
彼の好奇心を揺すぶるのも長くはかからなかった。
こちらに来てすぐ、家は家族で住むために増築をすることになった。
郁人の祖父は大工。祖父が先導して建ててくれた。
郁人はこの場所に田舎だが静かで心地好い気がしていた。
すぐにまちっ子から田舎者へと変わることになる。
小学校の入学式まで2週間ほど。
それまでに増築する家も出来上がる。
勿論、、近所に知り合いがいないので、遊ぶときはまだ3歳の妹と一緒だった。
2週間は目まぐるしく過ぎた。
小学校の準備で制服を買いに行き、ランドセルを祖父母から頂いて、それでも暇なときは妹と遊び、たわいもない日々が過ぎていく。
そして入学式の日。郁人の運命が変わる日。すべてのはじまり。
親に車で連れられて小学校に向かう。といっても小学校までは5分もかからずに着く。
初めて見る顔の人に連れていかれ、入場する位置に並ぶ。
郁人以外に男子3人女子4人来ていて郁人がならんですぐに男の子が一人きた。
郁人は落ち着かなかった。初めて見る何もかもに気をとられて周りをキョロキョロと見渡す。
ある人が「遅いわね……」と言うのが聞こえた。
すると、最後と思われる女の子がやって来た。
最初のコメントを投稿しよう!