737人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
俺はユキの事を中学の時から知っている。
知っていると言っても、勿論一方的にだが。
あれは中学の時の部活帰りだった。
俺と衛は先輩達にいつもと違う帰り道に無理矢理連れて行かれた。
何だよと思いながらも、先輩達に逆らう事なんてできる訳もなく、促されるまま付いていく。
「ここだよ、ここ。」
着いた先はある道場だった。
「ここにめっちゃ可愛い娘がいんの!それも二人も!」
思春期真っ只中で常に頭は女の事でいっぱいだろう、先輩のやらしそうな顔を見て、
チッ、女かよ。
と心の中で悪態をつく。
中学に入って数ヶ月、周りの女どもは常にキャーキャー騒いで俺と衛を見ている。
見世物のような毎日にウンザリする。
好きですとか付き合って下さいとか言ってくる女に断りを入れるとすぐ泣くし。
ハッキリ言って今のところ女の事なんて興味ねぇ。
.
最初のコメントを投稿しよう!