一章 色珠

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京一はケータイで色んなサイトに出たり入ったりしている内に少し趣向の違うサイトに辿り着いていた。 色珠(いろたま)と言うサイトだった。 「人の内部には“色珠”と言う色の着いた球体が存在しています。この“色珠”の色や大さが違ったら人は絶対に惹かれ合う事はありません」 色珠のサイトにはそう書かれている。 あなたの“色珠”を調べる。 YES・NO と言う画面が出てきた。すぐさまYESをクリックする。 するとケータイが何かをダウンロードしている画面が出てくる。 すぐに画面が更新され濃い灰色の小さな球がケータイの画面に浮かび上がってきた。これが京一の“色珠”らしい。 次に相手の名前を入力する画面が出てきた。 京一は恐る恐る“兵藤 アオイ”と打ち込む。 ケータイが、ダウンロードしている。 画面が更新されるまでの間、京一はアオイの“色珠”が自分と同じ灰色の小さな球体である事を、祈る。 すぐに画面にアオイの“色珠”が浮かび上がる。 青い光沢を放つ大きな球体がケータイの画面一杯に表示された。 「残念! このままではあなたの恋が成就される事はありません」 と言う文字が続けてケータイの画面に表示された。 「クソッ! 」 京一が吐き捨てる。 「あきらめる事はありません。登録して試練を乗り越えればあなたの“色珠”の色や大きさを変える事ができます」 ケータイが新たな情報を更新してくる。 「登録する・登録しない」 と京一のケータイの画面に表示された。 「どうせゲームサイトにでも登録されるんやろ」 京一が呟く。 ゲームサイトにしてもここまでの演出は凝っている。 「面白そうやな…… 」 京一はサイトに登録していた。 ・
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