一章 色珠

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登録するとすぐにメールが返信されてきた。 「坂井京一様。ご登録ありがとうございます。試練を乗り越えたければこのサイトの事を他言せず明日の17時に1人で以下の集合場所に来て下さい」 「は? 」 不可解なメールに京一は、困惑しケータイのボタンを押し画面をスクロールさせる。 「大阪市浪速区心斎橋2―1―×田中ビル入口」 詳細な集合場所の住所が書かれている。 京一は自分の名前も住所もケータイに打ち込んでいない。 しかしメールには自分の名前と京一の部屋から近い集合場所が記されている。 なぜ“色珠”と言うサイトは自分の個人情報を知っているのか? 自分は何らかのネット犯罪に巻き込まれたのかもしれない。 京一を、急に不安が襲う。 更に画面をスクロールさせる。 「料金等は一切かかりませんので御安心しておこし下さい。試練への参加、不参加は自由ですが不参加を表明された場合、またこのサイトの事を他言された場合には…… 」 まさか……。 「一生、兵藤アオイ様との恋が成就する事はありませんので御了承下さい」 最後の一文を読んだ時、京一の体から冷たい汗が吹き出した。 このメールはタチの悪いイタズラか何かだろうか? 集合場所に行かなかったら本当にアオイと一生、付き合えなくなるのだろうか? 試練……? 集合場所……? 連日の睡眠不足とアオイへの想いから京一は正常な判断がつけられなくなっていた。 ・
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