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2010年7月末……
浅い眠りの中を漂っていた京一を規則的な機械音が襲う。
目覚まし時計のベルが京一の頭の中を掻き回す。
京一が短い悲鳴を上げる。
軽い暴力に近い。
一時間程しか眠っていない。
目は充血し胃の辺りに違和感がある。
最悪だ。
これから京一は昨夜、顔を思い出そうと努力した女の人に会う。
最初に寝不足によって充血した自分の目が気になり出し……。
次は荒れた肌が気になる。
紆余曲折を経て最後には自分の体のラインまでが気になっていた。
人格にまでそれが及びそうになった時、京一は耐えられなくなって部屋を出た。
鍵をかけると鉄がこすれる音がした。
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