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美容室“ラエ”は雑居ビルの三階にある。
一階にはこ洒落たカフェが入っている。
“あの人とここに来れたら……”
意味のない妄想が膨らむ。
カフェの横の小さなエレベーターのボタンを押す。
あと数秒後にあの人に会うかと思うと胸が高鳴って行く。
エレベーターが、浮き上がる。
空間を上昇する感覚が京一の身を包む。
エレベーターの扉が開き雑居ビルの三階に出た。そこに小さな美容室“ラエ”はあった。
ガラス張りの扉の向こうであの人が忙しそうに動いている。
“ドキリ”と胸が高鳴った。
京一は、覚悟を決めあの人がいる店内への扉を開ける。
「こんにちは」
あの人……兵藤アオイが笑顔で京一を迎える。
京一の体は固くなり額から汗が吹き出した。
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