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いや生首だけではない。
手に足に腰に、バラバラにされた人間一人分の体がプロ野球選手の豪速球ごとく扉から出て来て…
ゴッ!
バキュッ!!
バシャァッ!!!
ドガガガガッ!!!!
人体が発していけない音を響かせ壁にぶつかった。
ボトボトとバラバラの体が落ちる中、ポーンポーンとバウンドする生首が。
その軽やかなリズムは誰もに頭の中身を想像させる。
と、その生首、扉に向かい頭を下げた。
「今までお世話になりました」
生首だから当然、首と頭だけ。
その他の体達も腰を曲げたり指先までピシッと伸ばしたり、素晴らしい【土下座】ぷりなのだが、とにかく体がバラバラなので全く誠意が伝わらない。
むしろ一斉にウゴッと動き固まるバラバラな体は、暗い廊下赤い絨毯と相まって悪夢のような光景だ
った。
まだ、いや何故か血が一滴も流れていない事だけが救いか…
悪夢は数秒続き…
「よっしゃラストしゅうりょ~」
生首にあるまじきバカっぽい声で言葉通り終わった。
生首はポーンポーンと首を器用に動かし跳ねながら移動する。
その姿はもはやプロ。
彼は首の移動に慣れていた。
そこに通りかかる人影3つ。
いやそれは人だろうか。
角があったり、顔の半分が目玉一つであったり、服は虎柄腰みの一つだったり。
「あれ鬼ぃズじゃん」
やはり人ではなく、どうやら鬼らしい。
その大きさは見上げるほど大きく…ない。
震え上がるほど怖く…ない。
背の高さは人の園児ほど、キョロキョロ動く大きな目玉は確かに恐ろしいがそれに慣れれば優しく小動物的な彼らは生首からすれば天使のように可愛らしい存在だ。
特に怒られて体をバラバラにされた後は…
生首は親しげに鬼ぃズに近づく。彼らは彼らでキイキイと挨拶し生首の体を拾ってくる。
…いい子だ。
キイキイ、キイキイ
「うん久しぶり。うん挨拶回りだよ。今日で最後だからね」
キイキイ、キイ…
「そんな事言わないで、絶対鬼ぃズの事忘れないよ」
キイ?
「本当本当」
キイ♪
「…ほんまええ子達や…」
キャッキャッ素直に喜ぶ鬼ぃズに生首は嬉し泣きした。
「ん?」
生首は体を異変を感じた。
体と言っても生首本体?ではない。
合体した上半身でもない。
むず痒く、広がり、そして消える感覚、これは…
ガチガチ
ムチャムチャ
「ほんぎゃぁぁ!!!!」
花瓶に生けられた花がムチャムチャ生首の足を食べていた
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