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「返せー!?」
キイキイー!!!!
生首改め、上半身は必死に自分の足を取り戻す為、廊下を這いずり、まだ合体していないバラバラの下半身も激情もあらわに廊下をビチビチ跳ねる。
鬼ぃズもキイキイ騒ぎ出し花に「返してあげてよー」と訴えるように手足を振り回す。
だが花はニタニタ笑いながら…
ゲプッ
キュゥ…
ゲップをし、その臭い息に鬼ぃズは三人揃ってパタリと気絶した。
「おにぃぃぃぃ――――ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!!!!」
まさかの光景に上半身、絶叫。
コノウラミ、ハラサデオクベキカ。
上半身はとっさに手に触れた【何か】を渾身の力で投げた。
がちゅぅぅん!!!!
ギャァァ!?
ガチャチャチャん!!!!
「え!?わぁごめん!!!!」
何が起きたかというと…
上半身が投げた【何か】は居眠りをしていた甲冑の頭だった。
甲冑の頭は見事花にヒット。
ボトリと足をその口から落とした。
だが何も知らない甲冑の頭はいきなりの衝撃にびっくり、しかも目覚めて最初に見たのは何でも食べる花のズラリと並んだ歯並びだ。
心底仰天である。
甲冑の頭が仰天すれば体も仰天する。
離れた所にある首なし甲冑が派手な音をたてて転倒したのである。
その結果…
「ああ…俺の足が…」
元生首、元上半身、そして今現在全身の合体を終え両足で立つ彼の視線の先はかかとから先がない自分の右足だった。
だが不思議な事にそこから血は出てない。
変わりに食われた所が霞のように曖昧にぼやけ、そこから先がないのだ。
バラバラになっても足を食われても全く痛がりもしなかった彼は、キッと恨みの籠もった目を犯人に向ける。
「まったくお前らは何度も何度も何度も!何回俺を食えばその細い体の腹が膨れるんだ!?」
花はクネクネ体(?)を動かしバフゥッと花粉を吐き出した。
そして不気味に笑い出す。
その反応を見た彼がグワッと目を見開き…
「不味いなら食うんじゃねえええぇぇ!!!!」
だいぶ理不尽な事を言われたようだ。
「あーもー最後までそんななのかよお前らは…
お前らのせいで五百年は遅れたのに…」
花にはブツブツ文句を、
甲冑には謝罪を、
目覚めた鬼ぃズをギュッと抱き締め、「今までありがとう。お互い頑張ろうな」感謝とエールを送り…
彼は城を後にした。
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