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「待たせたかな…」
照れくさそうに、彼は頭を掻いた。
空に浮く島。
その端に立つ三人の
元へスクーターを運転し降りた。
白く輝く長い金髪。白のフワフワ揺れるワンピースを着た美しい幼女が可憐な唇を開いた。
「いいえ。
別れの挨拶はすみましたか?」
「うん。それだけで3ヶ月かかるとは思わなかったよ」
心底疲れたというように、でもどこか嬉しそうに彼は言った。
そんな彼に乱暴で面白がるような男の声がかかる。
「そりゃオメーしょうがねーよ。オメーはみんなの【下僕】なんだからな」
「それ、いつから…」
あくまで数人の神の下僕になる予定が噂を聞いた神々がこぞって見に来て、面白半分、興味半分、暇つぶし…etc…
本人が知らない間に次々と彼を下僕にし暇なしで働き続けた一万年と二千年だった。
まぁそのお陰で諦めたチート能力や考えもしなかった能力、全く役にたたないモノや嫌がらせのような…etc…
とにかくその全てが今日終わった。
胸に広がるのは満足感と転生への期待、そして強烈で個性的な神々との別れの寂しさだった。
ニシシと笑う男。和風の女物にも見える派手な着物を紺色の服の上から片腕だけを通し、毛皮の毛皮を腰に結んでいる。
髪はオレンジ、両目は黒い布に覆われ見えない。
「俺はオメーをあいつ等が手放した事の方が信じられねぇなぁー」
「勿論、そういう方もいました。だから絶縁したり喧嘩別れだったり、…ぅっ」
彼は何かを思い出したのか目頭を押さえたり…
「なぁ。俺の体、全部あるか?」
「一つもかけずに」
真面目な無表情の神に聞いた。
一体何を思い出したのだろう。
と、そこへ…
「げぼくー!!!!」
「ぐほっ」
彼の体をかっさらう、【巨大な両手】が。
彼の体をぎゅうぎゅうと締め付け、頬ずりをし、ボタボタ涙を【落とした】
「フローランス!?ちょっ泣くな泣くな!?」
「行っちゃやー!!!!行っちゃやー!!!!やーぁぁぁよ!!!!」
「お前には【毎日】に説明したろぅがぁぁぁぁぁ!!!!
て、いっったぁー!?泣くな!?涙が頭にっっしょっぱ痛い!?!?」
フローランス、と呼ばれた巨人のように大きい男。渋い整った顔立ちに濃紺の短髪、月色の眼。そして真っ白な毛皮の三角の耳にフサリと揺れる尻尾。
そんな彼が頬を真っ赤、涙ボタボタ、鼻水ズルズル。
見事な大泣きだ。
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