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「欲しい!!!!」
一縷の望みをかけ、必死に神様を見た。
神様は10秒間目を閉じ、ゆっくりとまぶたを上げた。
「では徳を集めなさい」
神は今まで通り表情に、言葉に、全く感情を含めず、でも僅かに変わった。
それはまさしく、
神が謝罪する立場から、本来の場所に戻った瞬間…――
「…と…く?」
「伝わりませんか?言い方を変えるならそう…」
ゴクリと僕は無意識に唾を飲み込んだ。
「神々に恩を売りなさい」
「…うえー??」
神々に、恩を、【売る】?
それはつまり…どういうことだ?
「あなたの言うちーと能力とやらを私は持っていません。そして持っていたとしてもあなたにあげることは出来ません。何故ならあなたはそれと同価値のモノを持っておらず、そして渡す方法も知らないからです」
「はい、まぁ、そうです。…でも、え?神様はチート能力持ってないし、僕は同じ価値のモノがないんじゃ、【売る】前の問題じゃ…」
「はい。ですから【あなたに出来ること】を売りなさい」
「え゛?」
「あなたに出来ることをコツコツ時間をかけ、ちーと能力に近いモノを管理する神にその恩を売るのです」
「あ゛ーっ」
神の説明は分かりやすかった。
でも納得は出来なかった。
「でもそれ物凄く時間がかかるんじゃ…」
「ちーと能力の数と質と量により変わるでしょう」
やばい、めっちゃ時間がかかりそう…
「たとえば錬金術とかはどれくらいかかり…ますか?」
それ一つでも異世界で楽な生活が出来るだろう。
「それは賢者と言う知識を持ち長い時間と儀式技術、希少材料をもってして出来る詐欺行為の事ですか?」
「詐欺ぃ??いや違くてこう手をパンッてやったらドンッと…」
「…?」
「真理を見た者だけが出来るハイスピード等価交換ていうか…」
「…??」
僕は伝えきれない能力説明を諦め、その能力の元になる漫画の説明を始めた。
母を失った兄弟。その母を生き返らせる為行った禁忌。二人は予想した対価以上を強制的に、兄は片足を弟は魂と肉体全てを奪われ…
それでも得られたのは…
兄は何とか弟の魂だけを取り戻す事が出来、そして旅を始める。
目的は失敗した禁忌ではなく、愚かさで失った弟の肉体を取り戻す為に…
「…」
「…」
「「……」」
「かみさま?」
「!?」
びくぅっ!?と肩が揺れた後、ろりっ子神様は恐る恐る(無表情で)僕を見た。
「…。…何ですか?」
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