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ガチリと僕の時は止まった。
心も体も。
それほどその言葉は衝撃的で、だからこそわかる。
嘘ではない、過剰でもない、ただただ簡単な――真実であると。
彼女は僕の知る神より遥かに高位な存在であると。
「そのちーと能力を使う為に必要な神の許可はあまりに多くそして対価も計り知れません。完全な物を求めるのは無理でしょう。
一つの物質をイメージ通りに分解再生再構築というのなら、10の神の許可と保険として13の神の説得が必要でしょう」
神様はそんな僕の様子も気にせず淡々説明を始めた。
てか…合わせて23??
「流石に多すぎないか?」
「…。
そうですね、ちーと能力【錬金術】を使う度に両腕、または身体全ての破損か、一緒に錬成されてしまうかも知れませんが、それでもいいのなら…」
「すいません」
僕は土下座した。
「ちーと能力を得る為の難しさを理解して頂けましたね。ではあなたに再度訪ねます。
このまま転生しますか?
それともちーと能力を得るために転生を見送り、神々へ徳を捧げますか?」
「僕は…」
僕は…
「僕は、力が欲しい…」
僕は俯きながら言った。
だから神様の視線が冷たく、まるで【何の意味もない物を見る目に】変わった事に気付きもしなかった。
正座した膝の上、僕はギュッと拳を握りしめた。
「僕は力が欲しい。
そして変わりたいんだ。
普通だった僕から、
優柔不断だった僕から、
やりたいと思っても出来ないと簡単に諦めた僕から、
そして悩む事すら辞めた僕から、
チート能力を手に入れて全てを最初から、自分の思い通りに動く主人公に憧れたよ。
でも、でも、それは、出来ないって言い訳をなくしたんだ。
だから僕は欲しい。
そして言い訳をする僕を消したい。
僕は本当に最初から、
僕の思い通りにやった結果を受け止めてみたい」
それは神様にとっては人間の我が儘な戯れ言にしか聞こえなかっただろう。
それでももしチャンスがあるなら僕は…
――絶対、
諦めたくない!!!!
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