目覚め、そして誓い

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――ウソつき―― 不意に夜月の頭に文字がうかんだ。 夜月が辺りを見回す。 クロスが何事かと聞く。 「どうした?」 「いや、なんか頭の中で突然文字がうかんできて・・・・・・」 クロスが夜月を見て納得する。 「ああそうだ、水晶の天使は所有者と意思を伝え合うことはできるぜ」 「マジで!」 夜月はフィンに意思をとばしてみる。 ――ウソつきって?―― ――クロスさんの修行はむしろ虐待に近いくらいひどい―― 夜月は驚きと同時に笑いだしそうになった。 「あんた一体どんな修行をつけたんだ?」 「なんだ、フィンが何か言ったのか?」 ――い・・・・・・言わないで!―― 頭には文字しか写らないがフィンが必死に絶叫した気がした。 そう願われて答えないわけにはいかないので、 「あぁ、いや、それより続きを」 と、ごまかした。 「あぁ、それが大体3ヶ月くらい前の話になるんだ」 「それで昨日のことになるんだが、いいか?」 「ああ、問題ない」 クロスはわかったと言って、 「まず俺はその日、別の件で隣街まで一人で行ってたんだ」 「別件?」 「ああ、詳しくは言えないが」 夜月は水晶を握って、 ――知ってる?―― ――知らない・・・・・・―― ――そっか、ありがと―― 「フィンにも教えてないのか」 「知ってるなら別に秘密にする必要がないだろ?」 そのとおりだった。 「わかった、続けてくれ」 「別件がかたづいた後にフィンからテレパスがはいったんだ」 「テレパス?」 「いわゆるテレパシーって奴だ」 言われて納得する。 「テレパスの内容はこの街に現れた魔物をどうするか・・・・・・ とりあえず数が少ないようなら倒しておくよう言ってから、俺もすぐにかけつけた」 「それが、俺の見た戦闘・・・・・・」 「正確には、その最後の方だけだ、あの場には最初は十匹ほどいたそうだ」 「十・・・・・・」 「予想より多い数を相手にして兄ちゃんが来たときには疲労困憊の状態だったらしいぜ」 「そうだったのか」 「俺がつくまでに状況を聞いて驚いたぜ、――死なせたくない人ができた――だぜ?」 「死なせたくない人?」 クロスがため息をついて、 「兄ちゃんのことだよ」
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