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最初に思ったことは、
「これは夢だ」
夢じゃないとわかって、
夜月は震えた。
入ってきた時はただの裏路地。
突然視界が揺れて、
気づいてみれば別世界。
正確には場所は変わらない。
ただ、ここは今いた場所と違うという感覚だけがある。
正面を向く。
そこには世界に存在するはずのない化け物がいた。
神話に出てくるような三つの頭をもつ黒い犬、【ケルベロス】
そして、長く青い髪をなびかせてケルベロスと向き合って立っている、自分とあまり歳のかわらなそうな少女がいた。
その少女の背中には真っ白い翼がついていた。
「天使・・・・・・?」
口にするのもどうかとおもったが、事実そうとしか言えない存在であった。
天使の少女はケルベロスと向かい合ったまま動かない、
その手には力いっぱいに握られた長剣があった。
先に動いたのはケルベロスの方だった。
勢いのついた突進、ただそれだけだが、その速さは並みのスピードではない。
少女の方も前に出て迎え撃つ、ケルベロスの突進を飛んでかわしながら、すれ違いざまに化け物の背中に剣を振る
致命傷ではないらしく、すぐに方向をかえて向き合う。
「すげえ・・・・・・」
少し離れた所で見ていた夜月が感嘆の声をだす。少女が追いう剣が水平に放たれる。
「な・・・・・・!」
夜月が声をあげる。
ケルベロスの頭の一つを潰したが、二つ目の頭が剣に噛みついて放さない。
少女の顔が曇る、同時に剣といっしょに放り投げられる。
「まずい!」
無理な体勢で投げられて受け身も飛ぶこともできそうにない。
少女の身体が地面に叩きつけられる瞬間、
「大丈夫か?」
少女の身体を夜月は受け止めていた。
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