天使と会った日

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少女が動けない夜月の所に急いで近づいてきた。 少女の背中にはいつの間にか白い翼が消えていた。 駆けよってきた少女は夜月の手のひらを掴んで字を書いてきた。 「君、喋れないの?」 少女は頷き、また手のひらに字を書いた。 身体中痛くて仕方なかったが、なんとか読みとることができた。 ――ごめんなさい―― 「ごめんなさい?、へんなやつだな俺が勝手に飛び込んだだけだ、気にすることない」 ――でも―― 「いいんだって、怪我したのは自分の責任だ、それよりありがとな」 何のことかわからず少女はきょとんとする。 「化け物倒して助けてくれただろ?」 少女は首を振って手のひらに書く。 ――私たち天使がやるのは義務だから―― 義務・・・・・・ その言葉になにか大きな隔たりがあるように夜月は感じた。 「なあ、君の名前は?」 少女は戸惑いながら名前を書いた。 ――フィン―― 「フィンか・・・・・・ じゃあ改めて、ありがとな、フィン」 驚くフィンを見て笑う。 「見てれば分かるよ、君は義務じゃなくて本心から戦ってるって」 フィンは真っ赤になって手のひらに書いた。 ――ありがとう―― 「どういたしまし・・・・・・て」 突然視界が揺らぐ 「血を・・・・・・流しすぎたのかな?」 薄れていく意識の中で最後に手のひらに書かれている感じがした。 ――死なせない――
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