目覚め、そして誓い

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「会ってまもない奴でも?」 夜月は頷いて、 「おかしいよな、笑ってくれ」 クロスが嘲笑とは別な笑いを浮かべて、 「いやいや、嫌いじゃないぜ、そういうの」 クロスが真剣な顔に戻って、 「守れるものを守るため・・・・・・か」 「ああ、そのために俺は前に進もうと思う、どんなに辛くても」 クロスはしばらく夜月を見る、夜月も目をそらさずに見る。 「いいじゃないか、気に入ったぜ」 クロスが夜月の肩を叩く。 「話してやるよ、俺たち天使の世界の話を」 夜月は頷いて、 「ああ、頼む」 クロスはしばらく黙って、 「まずは何から話せばいいのか、そうだなまずは天使の役割からか」 「天使はあの化け物を倒すのが義務じゃなかったっけ?」 クロスは意外な顔をして、 「フィンに聞いたのか?」 「そうじゃなきゃ知らないだろ」 「ま、そうだな間違いじゃない」 「どういうことだ?」 「魔物退治の他に天使にはもう一つやっていることがあるんだ」 「やっていること・・・・・・そっちは義務じゃないのか?」 「まあな、普通はやるが強制じゃない」 「なんなんだ、もう一つは?」 「人間の願いを叶えること」 「願いを・・・・・・叶える?」 「自分の選んだ人間の願いをその天使のできる限りの手段で叶えること」 「出来る限りの手段・・・・・・か」 「何が言いたいか分かったか?」 「つまり相手の人間が悪意をもってあれがほしい、これがほしいなんて願って実行させれば」 「天使は自分の相手の願いを叶えるために力を使い、必要なら人も殺す」 「あんたもやってきたのか?」 「いや、俺は人間の相手を持たないで生きているからやったことはない、もし相手がいても俺は願いの選別くらいはする」 「そうか、よかった」 「基本的に危ないのは従うことを普通と思う子供の天使や、自分の力を伸ばすことしか考えない奴だな」 「自分の力を伸ばす?」 「魔物を倒したり、人間の願いを叶えることで天使は力を伸ばすことができるんだ」 「なるほどな、世界で起こる不思議な現象も天使の力のせいか」 「全部がそうではないとしても多くは天使の力が原因だろう」 あっさりと認めてきて夜月は驚いた。 「否定しないんだな」 「できるもんじゃないからな」 クロスは皮肉めいて言う。 「まあともかく、つぎの話にうつろうか」
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