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「気になってるだろ、フィンのこと」
夜月が身をのりだす。
「あ」
クロスが笑う。
「分かりやすいな、兄ちゃん」
「いやいや、気になっているだろとか言うから、それで・・・・・・」
「隠すな、隠すな、滑稽だぜ」
「あぅ」
下を見るしかない夜月。
「兄ちゃん、首飾りがかけられてるだろ?」
あわてて夜月は自分の首を見る。
確かに青い水晶の首飾りがかけられている。
「これは・・・・・・?」
クロスは水晶を見て、そして
「その水晶が・・・・・・フィンだ」
「は・・・・・・?」
沈黙が走る。
やがて、クロスが口を開く。
「天使は自分の魔力がゼロになると消える、その過程で自分の姿を保てないほど魔力を消耗すると水晶体になる」
夜月が一人言葉をこぼす。
「魔力・・・・・・消耗・・・・・・」
突然何かに気付き身体を動かす。
「そういうことか・・・・・・」
クロスが頷く。
夜月が肩と腕を見る。
そこにはケルベロスに噛まれた傷が・・・・・・
なかった・・・・・・
「回復魔法って高い魔力を使うのか?」
「まあ、普通に比べたらかなり高いだろうな」
夜月がため息をつく。
「俺のせいか」
「別に兄ちゃんのせいってだけでもないぜ、フィンの体質にも問題があるからな」
「フィンの・・・・・・体質?」
クロスが頷いて、
「あいつはもともと魔法に関して言えば天使の中でも群をぬいた才能の持ち主なんだ」
クロスはそこで一度きり、
「問題は才能に見合うだけの魔力が足りなかった、そして肉体的な能力は並みでしかなかった」
「切れすぎる刀を入れる鞘がない上に他の武器は使えないってことか?」
「面白い例えだな、まあそういうことだ、おかげでフィンは天使の戦闘の学校で最低クラスの天使だと思われてた」
「才能はあったんじゃ?」
「その才能を自分が扱える程度にコントロールするために使ったんだ、
だから周りはその才能に気付かなかった
フィンが学校から外に出てから俺が見つけて戦い方を教えてやったんだ」
「じゃあクロスはフィンの戦いの先生ってことか?」
「ああ、魔法は俺は苦手だったがアドバイスくらいはできたし、肉弾戦は軽く修行してやったぜ」
「へえ・・・・・・」
話を聞きながら夜月は自然と水晶、フィンを握っていた。
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