第壱話 白キ獅子ト緋ノ娘

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「まだ遠いけど、西南西の方角・・・あの人がいるよ」 「・・・うわぁ、便利だ・・・。」 「何がだっ!?」 「・・・・・・・・・色々・・・・・・?」 「疑問を疑問で返さないで。まぁ、炎樹に聞いた僕が馬鹿だった。それはそうとあの二人、凄く五月蝿いなぁ・・・大人気ないし格好悪い・・・。あの人が来る前に凍らせよ」 冬牙は何気ない動作で右手を未だに争っている二人に向けると、 『水に属せしモノたちよ、我が命を聞け。我に仇為す者を、その優しき冷気の息吹にて包め』 隣に居る炎樹にすらよく聞き取れない程の声でそう呟くと、一瞬で鈴禰彦と獄聯が凍り付いた。 「ん、これで良し」 「・・・何が・・・?」 再び沈黙が辺りを支配する。とは言っても、気まずさからではなく、周囲の気配を探るためである。 それから暫くすると、先程冬牙が言った通り、西南西の方角から、何の音も立てずに一人の男が現れた。
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