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役場へ向かう道の途中で車椅子を必死に押して避難しているスタッフを何人も追い抜く。駐車場に着くと利用者たちを下ろし、さてどうしようと考えた。まだ来ているスタッフの応援に行くべきだろうか。しかしすでにこちらに来た利用者を放っておくわけにもいかない。とりあえず安全な場所に移動させよう。
慌てていたので気付かなかったが、雪が降り始めていた。着の身着のままで出てきた利用者たちは寒そうだ。役場内に入れようと思い建物に近付くと
「ガラスが割れると危ない! 離れていて!」
と職員の方に言われてしまった。仕方なく駐車場のスペースで身を寄せていると、スタッフと利用者が次々集まってくる。
とにかく利用者を座らせてあげようとしていると役場職員の方々がブルーシートと毛布を持ってきて下さったので、地面にブルーシートをしき座らせて毛布を被せた。しかし寒さはまったくしのげない。周りにいた人たちが「役場ではこういう時のためにもっと用意していないの」と不満を漏らした。こんな不満を言えただけ、この時は皆まだ余裕があった。
やがて消防団の人たちから津波の情報が流れてくる。
「物凄く大きい津波だ! ここでも危ないかもしれない! もっと高い所へ逃げろ!」
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