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自販機の明かりに沙也加の顔が照らされている。
沙也加は自販機にお金を入れ、ボタンを押す。ゴトンと音がし、ペットボトルが出てくる。
俺はぼんやりと沙也加を見ながら思う。自販機の明かりに照らされる沙也加の横顔は正直、綺麗だ。
綺麗というよりは可愛いの部類だろう。栗色の髪が肩ぐらいまで伸びていて、目もパッチリしている。何よりいつもポジティヴで穏やかな性格は男女問わず人気ならしい。
沙也加はミルクティーをグビグビと飲んでいた。ペットボトルをラッパ飲みする女の子は多分沙也加だけだろう。
近くのベンチに腰かける。廊下が暗いからか自販機の明かりが眩しく感じる。
「ふー。喉乾いていたから助かったー!」
「俺は何を買おうかなー」
俺は立ち上がり、何を買うのか決めかけ、恭二の分も買ってあげようかなと思っていた。
そんな時だった。
俺たちは自分達の状況に対する見解の甘さを思い知らされることが起きる。
『いやぁああああぁあああぁぁあああっ!!』
どこからか悲鳴が聞こえる。
女子の声だ。何やら騒がしい。
「…なんだろうね。今の悲鳴…」
「う…うん。気になるね」
「…少し見に行ってみるか」
俺と沙也加は悲鳴の聞こえた方に向かう。
少し歩くと前方に人が集まっていて廊下が混雑している。騒がしい。何故か女の子の嗚咽や悲鳴まで聞こえる。
俺と沙也加は人だかりの中を潜り抜ける。人だかりの中心部にはあり得ない物体が横たわっていた。
「………………」
頭、両腕、両足が…全てなくなっている…人間の死体だった……
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