峠へ

2/7
前へ
/306ページ
次へ
午後8時頃…… 朱里は莉奈のスープラに乗って円香峠へと向かっていた。 「ねぇ莉奈。まだ着かないの?」 「まだ早いって。走り出して10分も経ってないよ。」 「けど待ち遠しいんだもん。」 「あーはいはい。分かったから急ぐって。」 そう言うとギアを落としアクセルを踏み込んだ。 結局普段円香峠まで40分かかる道を20分で走りきった二人だった。 「着いたけど、大丈夫?顔色悪いよ?」 「莉奈………速過ぎ……ちょっと止めて……」 「う、うん。わかった。」 そう言われて車を待避所に止めると、車から降り、深呼吸したあとに戻ってきた。 心なしか顔色が良くなった気がする。 「よし。もう平気だよ。」 「本当に大丈夫そうだね。それじゃあいくよ!」 そして二人を乗せたスープラは白煙とエキゾーストノートをその場に残し、猛然と加速しだした。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加