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コーナーが迫るとスープラはブレーキランプの残光を残しながらドリフトで駆け抜ける。
(凄い……)
朱里はそう思っていた。
サーキットとは違う峠という場所を凄まじいスピードで走り抜ける莉奈を。
サーキットならエスケープゾーンやタイヤガードなどがあるが峠にはそんなものは無い。しかもサーキットよりも道は狭い。
恐いと感じつつもそれよりも面白いと感じていた。
(私もこんなふうに走ってみたい!)
朱里が走り屋になると決意した瞬間だった。
峠の中腹辺りでスープラは止まった。
「どうだった?どんな気分?」
「私も走ってみたい!けど……車どうしようかな……」
そう言うと気落ちしたようで声がだんだん小さくなっていった。
「それなら安く車売ってくれた私の友達紹介するよ。」
「本当!」
「ホントホント。多分今日も来てると………」
と、携帯が鳴っているのに気づいた。
「もしもし?あ、十五?んバトル?ふーん。道開けとけばいいんだね?わかった。またあとでね。」
「誰から?」
「噂をすればってよくいったよね。安く車売ってくれた友達だよ。バトルするんだって。」
「ここから見れる!?」
どうやら朱里は興味津々といった様子でバトルを見てみたいようだ。
「目の前走って行くよ。」
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