峠へ

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電話が掛かってきて数分後、二台のエキゾーストノートが聞こえてきた。そして徐々にその音が大きくなるにつれてアフターファイアの音も聞こえてきた。 「もうすぐ来そうだね。あ、莉奈。ちょっと賭けしない?」 「へぇーどんな?」 「莉奈の友達が前に出てるか出てないかでさ。負けたらジュース一本で。」 「乗った!」 賭けるものがジュース一本とは安っぽいが莉奈も意外と乗り気になっていた。 「で、朱里はどっちにするの?」 「んー……じゃあ後ろで。」 そう朱里が言うと莉奈はジュース一本もらったなと思い、顔が若干ほころんだ。 「それじゃあ私は前だね。走り抜けたら私が結果言うからね。朱里どっちか私の友達かわからんでしょ。」 「じゃあ車種教えてよ。いかさまされそう。」 「いかさまなんてしないよ。まぁ友達の相手はワンビアだとは言っておくね。」 「友達のほうは?」 「内緒。実際に見たほうが良いしね。」 「えーケチだなぁ。」 朱里は不満らしく子供みたいに文句を言ってくる。 「ダメ。我慢しなさい。」 そんなやり取りをしているうちに下のほうにヘッドライトの明かりが見えてきた。
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