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真夏の日、新大阪駅の前の交差点付近を車のクラクションが鳴り響くなか、僕は白バイに乗ってパトロールをしていた。
夏場は車の排気ガスがあたり、汗が滝のように流れる。
もし僕に妻がいたなら、家に帰れば冷たいビールと料理が用意されているかもしれない。
だが、それも一つの夢物語だ。
僕は三十路入りをしながらも、未だに結婚をしていない。
というか、する気がない。
それはやはり、あの出来事があったからだろう。
それは僕以外の人は真相を知らない、というよりは、僕の不注意から生まれた過去。
そんなたった一つのちんけなミスは後々僕の人生を変えることになった。
それだからこそ、変わってしまったからこそ、僕は未だ結婚をしていない。
親から何度も何度も見合いの話を持ちかけられた。
ただ、その過去が僕を束縛させているため、そんなものを容易く受け入れられない。
そんなひとえに思い出と呼ぶことのできない重い過去。
大学一年生の時の僕の過去の物語─────。
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